時空間情報システム #11

佐賀市内の自転車観光コースを開発する

田村一軌

佐賀大学経済学部

2026年7月3日

佐賀と自転車

  • 佐賀市中心部は、自転車利用にきわめて適した地理的特性を持っています。
  • 佐賀市中心部は海抜4m程度の佐賀平野の中心に位置し、高台や坂道もほとんどない平坦な地形になっています。

『佐賀県自転車活用推進計画』より

佐賀と自転車

マイナビ・ツール・ド・九州2026 佐賀・福岡ステージ

唐津市ウェブサイト
  • 2026年10月10日
  • 唐津(波戸岬)→福岡(天神)

観光地での移動手段

移動手段 メリット デメリット
🚌公共交通
 +🚶徒歩
  • 主要観光地を効率よく巡れる
  • 比較的費用を抑えることが可能
  • 車窓からの景色を楽しめる
  • 本数が少なく乗り遅れると痛手
  • 移動ルートの融通が利かない
  • 混雑時は座れない可能性がある
🚗自動車
  • 出発時間やルートが自由自在
  • 荷物を載せたまま移動できる
  • プライベート空間を確保
  • 渋滞や駐車場探しで遅延リスク
  • 運転手の体力消耗と疲労
  • ガソリン代や駐車料金が発生
🚲自転車
  • 狭い路地や渋滞を気にせず移動
  • 駐車場の心配がほぼ不要
  • 寄り道がしやすく発見が多い
  • 天候(雨・風・暑さ)に左右される
  • 体力的な負担が大きい(特に坂道)
  • 長距離の移動には向かない

観光地での移動手段

  • 佐賀県の交通機関別観光客の割合(令和元年)
  • 約73%が自家用車利用

自転車を活用した観光の促進

佐賀市の自転車ツーリムズ推進

佐賀市ウェブサイト
  • サイクリングコースを設定して公開
    • 水辺と歴史のサイクリングコース
    • 徐福と花のサイクリングコース
    • ひがしよかとこめぐりサイクリングコース
  • まちなかポタリングコース

まちなかポタリングコース

佐賀市ウェブサイト

佐賀市まちなか新コースの設計

  • 新しいまちなか自転車観光コースを設計してください。
  • どのようなコースを提案すればよいでしょうか?
    • まずは、チームで話し合って、アイデアを整理してみましょう。
  • 観光施設・寄り道スポット、休憩場所・飲食店、絶景ポイントなど、どのような地点を組み合わせるかが腕の見せ所です。
  • 自転車ならではの観光コースを設計してください。

佐賀市まちなか新コースの設計

  • RESASの観光分析や、サガバイドットコム(佐賀市観光協会)などのウェブサイトを参考に、観光スポットや寄り道スポットを探してみましょう。
    • あなただけが知る、知る人ぞ知るスポットを組み込むのも面白いかもしれません。
  • コンセプトとターゲットを決めて、コースのテーマを明確にすることも重要です。
    • 例:歴史・文化、グルメ・スイーツ、アート、風景・写真、など

佐賀市まちなか新コースの設計

  • 佐賀市内を走るコースを設計してください。
    • 出発地と帰着地が一致する(同じ場所に戻ってくる)
    • 半日〜1日程度の観光プラン(宿泊を含まない)
  • 訪問する地点のリスト(Excelファイル)を作成してください。

佐賀市まちなか新コースの設計

  • 地点名、緯度、経度を、訪問順に並べたリストを作成してください。

佐賀市まちなか新コースの設計

  • 「最適化ツール」を利用して、コースを地図に表示しましょう。

「最適化ツール」の利用方法

  • 講義時だけ使用可能なアドレスは、都度お知らせします。
    • ローカルPCで作動するため、快適に利用できます。佐賀市の自転車移動に特化したチューニングをしています。
  • https://tmrkzk.shinyapps.io/opt-map/はいつでも使えます。
    • 外部のウェブサイトにアクセスします。大勢が同時にアクセスすると、サーバーが混雑して使えない場合があります。

自転車観光コースの評価

  • 訪れる観光スポットの魅力や物語性移動のしやすさや効率性安心感など、さまざまな評価軸
  • 観光コースの中心的評価軸は、訪れる観光スポットの魅力や物語性
    • 主観に基づく評価であり、客観的な評価が困難
  • 移動効率性や負荷、安心感は客観的・定量的な評価が可能
  • 移動の効率性、移動の負荷、移動の安心感を測る方法を説明した。
  • 魅力や物語性みんなの意見によって評価することにする。

自転車観光コースの主観的評価

評価軸 評価内容
テーマ性・物語性 コース全体に一貫したコンセプトがあるか
スポット選定の独自性 ありきたりでない、発見のある場所を選べているか
ルートの変化・メリハリ 景観や雰囲気の変化があり、飽きさせないか
訴求力(実際に行きたくなるか) 説明を聞いて「自分も回ってみたい」と思えるか

自転車観光コースの主観的評価

  • (発表会で)各チームの発表を聞いた後、各チームの自転車観光コースについて、上記の評価軸に基づいて5段階評価を行ってもらいます。
  • 自分のチームの評価をすることはできません。
  • 他チームのメンバーからの評価値のトリム平均1を用いて、各チームの主観的評価値を決定します。

自転車観光コースの定量的評価

  • 移動の効率性
    • 最短経路1と比較して、どの程度効率的なコースになっているか
  • 経路の高低差
    • 高低差が大きく体力的な負担が大きいコースになっていないか
  • 経路の安心感
    • 最寄りの自転車修理店までの距離の最大値
  • 経路の利便性
    • 移動ルートから一定距離圏内にあるコンビニエンスストアの数

コースの定量的評価(移動の効率性)

  • 「最適化ツール」を利用して、TSPの最適解を計算します
    • 訪問地点のリストのExcelファイルを読み込み、TSPの最適解を計算
    • 計算された最適解の移動距離と、設計したコースの移動距離を比較することで、コースの効率性を評価(最短経路の何倍の距離になっているか)

コースの定量的評価(経路の高低差)

  • 「最適化ツール」を利用して、経路のGeoJSONファイルを出力します
    • 設計したルート(TSPの最適解ではなく)の経路を出力してください
    • 出力したGeoJSONファイルを、地理院地図の「断面図」ツールに読み込ませることで、経路の高低差を可視化することができます。

コースの定量的評価(経路の安心感)

  • コース上のどこにいても「最悪このくらい歩けば修理店に着ける」距離で評価しようというアイデア
  • 「最適化ツール」を利用して、訪問地点リストと自転車修理店のリストを読み込み、コース上の地点から最寄りの自転車修理店までの距離の最大値を計算してください

コースの定量的評価(経路の利便性)

  • 4つ目の定量的評価軸は、利便性です。
  • 観光コースからアクセスしやすい場所に、コンビニエンスストアがあると便利だと思います。
    • 例えば、トイレ休憩や飲み物の購入など
  • 観光コースから一定距離の範囲に、コンビニエンスストアが何軒あるかを評価することにします。

【参考】関連する最適化問題

  • 最大被覆ツアー問題(MCTP)
    • ツアーの移動距離上限を設定した上で、そのツアー訪問地から一定距離内にある需要点の数を最大化する問題
  • オリエテーリング問題(OP)
    • ツアーの移動距離上限を設定した上で、ツアー訪問地の魅力度の合計を最大化する問題
  • 上記の最適化問題の目的関数を参考にして、観光コースから一定距離の範囲にあるコンビニエンスストアの数を最大化することにします。

自転車観光コースの利便性評価

  • 「最適化ツール」の「経路バッファ分析」を利用します。
    • 観光ルートとコンビニエンスストアの緯度経度データ(Excelファイル)をアップロードします。
    • バッファ距離は0.3km(=300m)に設定します。
    • 観光ルートから道路距離で300m以内にあるコンビニエンスストアの数がカウントされます。
      • バッファが表示されますが、これは直線距離で300mの範囲を参考までに示すものなので注意してください。

自転車観光コースの評価指標まとめ

  • 主観評価
    • テーマ性・物語性
    • スポット選定の独自性
    • ルートの変化・メリハリ
    • 訴求力(行きたくなるか)
  • 客観評価
    • 移動効率性
    • 移動負荷(高低差)
    • 安心感(修理店までの距離)
    • 利便性(最寄りコンビニの数)
  • これらの指標から総合的に評価し、最も優れた自転車観光コースを決定