AHPで自転車観光コースの総合評価を決める
佐賀大学経済学部
2026年7月3日
前回までに、自転車観光コースの評価指標が決まりました。
問題: 単位も性質もバラバラな8つを、どうやって1つの総合点にする?
→ 「どれをどれくらい重視するか(重み)」を 数値化 する
もし全部の評価指標の(算術)平均をとると…
→ そこで使うのが AHP(Analytic Hierarchy Process:階層分析法)
AHPはもともと、「専門家の主観的な判断」を、恣意的にではなく体系立てて数値に変換するために考案された手法(Saaty, 1980)。
今回は「みなさんの集合知」を、AHPを使って数値化します。
これが AHP の中心的なアイデア = 一対比較(pairwise comparison)
3グループの間で、3回の一対比較をします。
各質問で、次の9つから1つ選びます。
| 選択肢 | 重みの目安 |
|---|---|
| Aが極めて重要 | 9倍 |
| Aがかなり重要 | 7倍 |
| Aが重要 | 5倍 |
| Aがやや重要 | 3倍 |
| 同じくらい重要 | 1倍 |
| Bがやや重要〜Bが極めて重要 | (Aと対称、Bの方が重要) |
直感的な感覚を、そのまま数値(比率)に変換する尺度です。
例(A・B・Cの3項目、一対比較の結果が下の表だったとする):
| A | B | C | |
|---|---|---|---|
| A | 1 | 2 | 4 |
| B | 1/2 | 1 | 2 |
| C | 1/4 | 1/2 | 1 |
正規化すると、実はどの列も同じ比率(57:29:14)に揃います。
| A | B | C | 行平均(重み) | |
|---|---|---|---|---|
| A | 0.571 | 0.571 | 0.571 | 57.1% |
| B | 0.286 | 0.286 | 0.286 | 28.6% |
| C | 0.143 | 0.143 | 0.143 | 14.3% |
3列がぴったり同じ比率に揃うのは、この例が完全に矛盾のない回答だったからです。
(A:B=1:2、B:C=1:2、A:C=1:4=1:2×2 で辻褄が合っている)
一対比較には、ときどき 矛盾 が紛れ込みます。
例:「効率性>安全性」「安全性>魅力度」なのに「魅力度>効率性」
これでは3つの重みを一貫して決められません。
AHPには CR(整合度) という、回答全体の矛盾の大きさを測る指標があります。
今回の評価では、2つのレベルでCRを確認します。
個人のCRが多少荒れていても、全員分を平均すると矛盾が打ち消し合って、集約後のCRは低くなることがよくあります。
→ 個人のCRは「回答をやり直してもらうかどうか」の目安、 集約後のCRは「最終的な重みを採用してよいか」の目安、という役割分担です。
では、来週の発表会に向けて、準備(スライド作成など)を進めてください。
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