大学進学にともなう都道府県間人口移動

高校生の大学進学地域選択行動と地域の社会経済指標との関係に関するモデル分析
Published

October 30, 2025

概要

県外大学進学率と平均大学進学移動距離の推移

人口減少社会に突入した日本においては、特に地方では、地域人口を維持すること、すなわち人口流出を抑え人口流入を増やすことが課題となっているようです。 これは人口という総量の決まった資源の奪い合い(ゼロサムゲーム)ではありますが、人口の減少と高齢化という現実に直面した自治体の危機感の表れとして、この課題への政策的対応が課題となってきているのだと思います。

日本の人口移動の特徴を年齢別にみると、高校卒業のタイミング(大学進学時および就職)で、地方圏から都市圏への移動が顕著に見られ、その後大学卒業時に都市圏から地方圏への還流が少ないながらも見られることがわかります。 したがって、前述の課題を解決する最も有力な手段のひとつは、大学進学時の高校生の居住地域選択に働きかけることです。

この研究では、大学進学時の都道府県間人口移動の特徴、つまりどのような地域からどのような地域への移動が起こりやすいのか、を分析しました。 具体的には、都道府県間の人口移動を、地域の経済状況や大学の教育・研究環境から説明することを試みました。 複数年次のデータを使って、大学進学にともなう都道府県間人口移動の経年変化について、国公立大学と私立大学の違いや性別による違いを調べました。

論文

  • Tamura, Kazuki “A Quantitative Analysis of Inter-prefectural Migration Associated with University Enrollment,” Proceedings of 34th Asian Economic Symposium 2005, pp. 219–235, 2025.
  • 田村一軌・小松翔・彭雪「高校生の居住意向とその影響要因-北九州市の高校生意識アンケート調査から-」海峡圏研究,23号,2023.
  • 田村一軌「大学進学にともなう都道府県間人口移動の定量分析-修正重力モデルによる分析-」AGI Working Paper Series,No.2017-03,2017.
  • 田村一軌「県外大学進学率のパネル分析」AGI Working Paper Series,No.2017-02,2017.

発表等

  • 田村一軌「県外大学進学率のパネル分析」応用地域学会第31回研究発表大会,東京大学,2017.