メッシュ統計とは何か

更新日

2026年4月17日

先週の振り返り

先週の講義では、緯度・経度のシステムとGPSの仕組みについて学びました。 また、皆さんのスマートフォンのGPSセンサによる緯度差の計測と地図上の距離計測から地球の全周を推計する、という実習を行いました。

講義と実習を通して、

  • 地表には(目には見えないけれど)緯線・経線があること
  • 緯線・経線は地物とは関係なく存在すること

を体感できたのではないでしょうか。

今日は、緯線と経線を使って集計された空間データについて学びます。

メッシュ統計とは何か

緯線および経線という(いわば架空の)平行線を使って、地表を網の目状に区切ることができます。

メルカトル図法のような、緯線と経線とが直交する地図を思い浮かべた方が分かりやすいかもしれません。

緯度と経度に基づいて、地域を隙間なく網の目の区域に分け、それぞれの区域に関する統計データを編成したものを、メッシュ統計と呼びます。 つまりここでいうメッシュとは、簡単にいうと、東西方向と南北方向に2本ずつ引かれた計4本の直線で囲まれた矩形くけい領域のことを指します。

身近なメッシュデータとしては、気象庁が公開している「天気分布予報」があります。 みなさんもテレビの天気予報で見たことがあるのではないでしょうか?

気象庁ホームページに掲載している天気分布予報の例(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kurashi/bunpu.html)

緯線や経線は無数にありますので、メッシュの区切り方も無限にあります。 しかしメッシュ統計においてはどのようなメッシュでも良いというわけではなく、JIS規格として標準地域メッシュが策定されています1

地域メッシュの区分方法
種類 経度の間隔 緯度の間隔 一辺の長さ
第1次地域区画 40分 1度 約80km
第2次地域区画(統合地域メッシュ) 5分 7分30秒 約10km
基準地域メッシュ(第3次地域区画) 30秒 45秒 約1km
2分の1地域メッシュ(分割地域メッシュ) 15秒 22.5秒 約500m
4分の1地域メッシュ(分割地域メッシュ) 7.5秒 11.25秒 約250m
8分の1地域メッシュ(分割地域メッシュ) 3.75秒 5.625秒 約125m

表からわかるように、2次メッシュの1辺の長さは1次メッシュの8倍に、3次メッシュの1辺の長さは2次メッシュの10倍になっています。つまり、1次メッシュは64の2次メッシュに、2次メッシュは100の3次メッシュにそれぞれ分割されます。

また、それぞれのメッシュ区画には番号(メッシュコード)が振られています。 下の図から、佐賀県にかかる1次メッシュコードは、4929、4930、5029、5030であることがわかります。

1次メッシュコード(一部)

これは1次メッシュの例ですが、2次メッシュ以下の全てのメッシュに、ユニークなコードが振られています。 例えば、3次メッシュには8桁の、250mメッシュ(5次メッシュ)には10桁のコードが割り振られています。

メッシュ統計のメリット

メッシュ統計のメリットとして、次の2つが挙げられます。

  • 計量的比較が容易
    • メッシュ区画は、ほぼ同じ大きさ・形状の区画なので、異なるメッシュのデータと比べることが容易です。
  • 時系列的比較が容
    • 位置や区画が固定されているので、市町村などの行政区域の境域変更などの影響を受けることがなく、同じメッシュの過去のデータと比べることが容易です。

メッシュ統計の注意点

ただし、メッシュ統計には注意すべき点があります。

1. メッシュの位置によって大きさが異なる

例えば、基準地域メッシュは1辺の長さが約1 kmの正方形だといわれますが、実際にはやや横長の長方形です。 また下の図に示すように、基準地域メッシュは場所によって(地球上のどこにあるかによって)その大きさが異なります。

その成り立ちから、経度1度に相当する距離は、高緯度ほど短く低緯度ほど長くなります。 したがって、札幌市の基準地域メッシュの横の長さが1,018 mであるのに対して、那覇市の基準地域メッシュ の横の長さは1,249 mで、札幌に比べておよそ23%も長くなっています。 縦の長さはあまり変わらないのですが、メッシュの面積もおよそ22%大きくなっています。

このように、地域メッシュはその位置によって大きさが異なるため、特に遠いところにあるメッシュどうし を比較する時には、形状と大きさについて十分注意を払う必要があります。

2. メッシュ統計の作成年によって位置が異なる

測量法の改正(2002年4月1日施行)によって、測量法で規定されている「測量の基準」が改正されたために、実は緯度・経度決め方が改正の前後で異なっています。

改正測量法の施行前は、明治時代から国内の測量に用いられてきた「日本測地系」と呼ばれる測地系が使われていました。しかし日本測地系は地球全体の緯度経度を正確に表す測地系ではないので、国際的に整合性のある「世界測地系」が使用されることになりました。

しかし、下図に示すように、日本測地系の経緯度で表されている地点を、世界測地系の経緯度で表わすと、東京付近では、経度が約-12秒、緯度が約+12秒変化します。 これを距離に換算すると、北西方向へ約450 mずれることに相当します。

日本測地系と世界測地系の違い(国土地理院ウェブサイトより)

2000年より前の地域メッシュ統計には、従来の「日本測地系」での地域メッシュ区分によって編成されたデータの場合があるため、それ以降の「世界測地系」での地域メッシュ区分によって編成されたデータと直接比較できない場合があることに、注意が必要です。

メッシュデータをさわってみよう

ジオグラフ

それでは、実際にメッシュデータをさわってみましょう。

ジオグラフは、帝国書院と都市構造可視化推進機構が開発した、主に小中高生の社会科教育向け教材です。

ジオグラフを使うと、様々な統計データを地図上に立体グラフとして表示することができます。 直感的な操作によって、地域の状況を直感的に理解することが可能です。

ジオグラフの画面例

演習①

  1. あなたのよく知っている自治体を1つ選んでください
  2. ジオグラフのデータを見ながら、その自治体の特徴を5分程度で解説するシナリオを考えてください
  3. 隣の人にジオグラフを見せながら、その自治体の特徴を説明してみてください。

演習②

  1. 比較対象の自治体を1つ選んでください
  2. ジオグラフを使って、2つの自治体を比較しながら、それらの特徴を5分程度で解説するシナリオを考えてください
  3. 隣の人にジオグラフを見せながら、それらの自治体の特徴を説明してみてください。

脚注

  1. 日本が世界に先駆けた取り組みで、日本独自の規格になっていますが、近年これを拡張した世界版がISO化されつつあるようです。↩︎