RESASを使った観光ルートの改善提案

更新日

2026年4月24日

先週の振り返り

先週の講義では、地域メッシュ統計について学びました。 地域メッシュ統計とは、緯線と経線からなるマス目ごとに統計データを集計した空間的な統計データです。

また、ジオグラフを使った地域分析の基礎を学びました。 ジオグラフでは、様々なメッシュ統計データを地図上の立体グラフとして表示することができます。 地域メッシュ統計を可視化することで、地域の状況を直感的に理解することが可能であることを体感できたと思います。

今日もメッシュデータを使った地域分析に挑戦したいと思います。 今回は、RESAS(地域経済分析システム)を使った観光ルートの分析を題材にします。

RESASとは何か

RESAS(リーサス)は、内閣官房と経済産業省が、産業構造や人口動態、人の流れなどに関する官民のビッグデータを集約し、可視化するシステムとして、2015年に提供を開始しました。 Regional Economy and Society Analyzing Systemの頭文字を取って、RESASという名前になったようです。

サービス開始から10年以上が経過し、その機能や提供される情報も拡充されています。 現在では、「マーケティング」「観光」「人口」「産業構造」「地域経済循環」「農林業漁業」「医療・介護」の7つの分野のデータが掲載されています。

今日はこのうちの「観光マップ」を使いますが、「観光地分析」「宿泊者分析」「国内観光消費分析」「インバウンド消費分析」というメニューが用意されています。

観光ルートの改善提案

今日は、人流データなどのメッシュ統計を参考にして観光ルートの改善を提案する、という課題に取り組んでみましょう。

観光モデルコース

観光ルートの「改善」というからには、元となる観光ルートが必要です。

それぞれの自治体あるいは観光協会等は、「観光モデルコース」と呼ばれる、観光ルートを観光客に提示しています。 以下に、九州・沖縄の各県が提供している「観光モデルコース」のウェブサイトの例を示します。

自治体観光情報ウェブサイトの例
ウェブサイト URL
あそぼーさが https://www.asobo-saga.jp/courses/
クロスロード福岡 https://www.crossroadfukuoka.jp/course
ながさき旅ネット https://www.nagasaki-tabinet.com/course
もっと、もーっと!くまもっと。 https://kumamoto.guide/courses/
みやざき観光ナビ https://www.kanko-miyazaki.jp/course
かごしまの旅 https://www.kagoshima-kankou.com/course
おきなわ物語 https://www.okinawastory.jp/course/

これ以外にも、市町村やその観光協会等が作成したモデルコースもたくさんあります。 皆さんが気になるモデルコースを探してみてください。

観光ルートの分析

以下では、北九州市の「祝・全国1位!日本新三大夜景都市を遊ぶ」という観光モデルコースを例に説明します。

このコースは、

  1. 若戸わかと大橋
  2. 火野ひの葦平あしへい旧居「河伯洞かはくどう
  3. 高塔山たかとうやま公園
  4. 皿倉山さらくらやま

という観光地を、車を利用して半日で廻るコースとなっています。

それでは早速、RESASを使って、これらの観光地に、いつどのような人が訪れているのか調べてみましょう。 まず、RESASの観光マップを開きましょう。 「検索条件」から、表示する地域を指定します。

次に、滞留人口メッシュの条件を指定します。 ここでは、観光目的での滞留人口を分析するために、「すべての日」を「休日」に変更し、推定居住地を「同一都道府県内」「他都道府県」が選択された状態に(つまり同一市区町村以外に)します。 この状態で、メッシュ表示のトグルスイッチをONにすればデータが読み込まれ、250 mメッシュの滞留人口が色によって表されます。

政令指定都市の場合には、125 mを使用することが可能なので、より詳細な観光地の分析が可能です。

先に示した観光ツアーに含まれる4つの観光地について、それぞれの位置するメッシュの滞留人口を詳しく見ることにします。

例として、若戸大橋の若松側、若松南海岸と呼ばれるエリアの滞留人口を見てみます。

このエリアの滞留人口は、60代男性が卓越しているものの、40代女性も相対的には多く訪れていることがわかります。

また、月別の推移を見ると7月と11月に、時間帯別の推移を見ると14時と20時に滞留人口のピークがあることがわかります。

残りの3つの観光地についても同じように滞留人口の分布と推移を確認したところ、以下の表のようにまとめることができました。

観光地 年齢・性別 ピーク月 ピーク時間帯
若戸大橋 60代男女・40代女性 7月・11月 14時・20時
火野葦平旧居 60代以上女性 6月
高塔山公園 女性30代以上・男性40代以上 6月 9〜15時
皿倉山 女性30代以上・男性40代以上 5月・8月 11〜13時・19〜20時

火野葦平旧居は滞留人口が少なく、またピーク月が6月となっています。 その近くにある高塔山公園のピークも6月になっていますが、これは「あじさい祭り」の影響も大きそうです。

そこで、この観光ルートの改善案として、若戸大橋と皿倉山を軸にして、訪れる人が多い8月に、30〜40代女性をターゲットとしたツアーに仕立て直すことを提案したいと思います。

観光ルートの提案

前節で述べたように、この観光ルートの改善の方向性は、

  • 30代・40代の女性をターゲットにしたい
    • 子連れでの行動も想定される
  • 時期は8月、14時頃に若戸大橋、20時頃に皿倉山
    • その間の観光地を探す(暑い時期の暑い時間帯の観光地)

ということにします。

そこで、RESASを使って、若戸大橋から皿倉山にかけての地域において、8月に30代女性が多く滞在しているメッシュを探してみることにします。

ちょうど若戸大橋と皿倉山の中間地点あたりに、色が赤いメッシュいくつかあるのが見えます。 地図を拡大してみると、これらはアウトレットモールと博物館であることがわかります。

そこで、これらの観光地を組み込んで、「夏の北九州満喫ツアー」を提案したいと思います。

  1. 若戸大橋(若松南海岸散策)
  2. ジ・アウトレット北九州(ショッピング+食事)《もしくは、いのちのたび博物館》
  3. 皿倉山(夜景)

また、このコースであれば、公共交通を使って移動することも十分可能です。

flowchart TD
    A[若松南海岸] -- "`市営渡船・JR
    (30分)`" --> B[ジ・アウトレット北九州] -- "`JR・無料シャトルバス
    (30分)`" --> C[皿倉山];

演習

  1. 好きな「観光モデルコース」を1つ選んでください。
  2. RESASを使って、モデルコースに含まれる観光地滞留人口の特徴を整理してください。
  3. モデルコースの改善プランを考え、それに合致する観光地を、RESASを使って探してください。
  4. 移動や食事の時間帯などの観点から、モデルコースのフィージビリティーをチェックして下さい。