宅配ピザ店の新規出店計画

更新日

2026年6月13日

jSTAT MAPを活用して、宅配ピザ店の新規出店計画を立ててみましょう。

商圏分析

新しくお店を出すときに、どの場所のお店を出すと、成功するでしょうか? お店を出す場所のことを立地といいますが、立地によってお店の売上が大きく左右されるため、立地を慎重に決める必要があります。 また、一度お店を構えたら、お店の場所を変更することは容易ではないため(多額の物件の取得費や内外装工事費、広告宣伝費などがかかる)、慎重にならざるを得ません。

そこで商圏分析が必要になります。 商圏(あるいは集客圏)とは、お店の顧客となる人が存在する地理的な範囲のことを指します。 商圏分析とは、商圏がどのような地域かについて、社会的な要素や経済的な要素だけでなく地理的な要素や環境的な要素まで含めて把握することです。 商圏分析の結果をもとに、立地候補場所を評価や、出店後の売上の予測が可能となります。

商圏の空間スケール

商圏の空間的な広がりは、店舗の種類によって異なります。 例えば、デパートは大きな商圏的な広がり(都市や都市圏)を持つのに対して、スーパーマーケットやドラッグストアは地区程度の商圏を持ちます。 また、コンビニエンスストアなどではより小さな商圏を考えるのが一般的です。

この例から分かるように、扱う商品の種類・金額や購入頻度などによって、商圏の空間的な広がりは異なります。 また、同じ種類の店舗であっても(例えばコンビニエンスストア)、都心型の通行人を対象とした店舗なのか、郊外型のロードサイド店舗なのかによっても、商圏の広さは変わります。

需要発生源としての人口・世帯

商品の需要発生源としては、一般に、居住者就業者通行者の3つが挙げられます。 居住者はその商圏に住んでいる人(夜間人口)、就業者はその商圏で働いている人や学校で学んでいる人(昼間人口)のことです。

夜間人口や昼間人口は、国勢調査経済センサスなどのデータから把握することができます。 さらに近年では、人流データよって通行者の数も把握することが可能になっています。

また、扱う商品が世帯に1つ購入するようなもの(例えば家電など)であれば、人口ではなく世帯数が重要となる場合もあります。

宅配ピザ店の新規出店計画

皆さんには、jSTAT MAPを活用して、宅配ピザ店の新規出店計画を策定してもらいます。 この演習では、実際の福岡市の空き店物件舗情報を利用します。

  • jSTAT MAPを活用して集客圏の客層を分析し
  • Google Map等を利用して周辺環境を確認する

ことを通して、店舗周辺の商圏の特徴を把握しましょう。 そして、店舗コンセプトに合致した物件を選定してください。

店舗コンセプトの決定

皆さんは「福岡市で宅配ピザ店を開業したい」と考えています。 まずは、お店のコンセプトとターゲットを決めてください。

  • 高級宅配ピザ
  • 高齢者向けピザ
  • 健康志向ピザ
  • ピザパーティー専門店
  • 学生向けハイカロリー・高プロテインピザ
  • スイーツ系ピザ

お店のコンセプトによって、対象とする客層(ターゲット)が異なります。 あなたのお店の「ピザが買う顧客」を想像してください。 そして、あなたの「ピザが売れる場所(顧客がいる場所)」を探してください。

次にあなたがやるべきことは、あなたのお店のコンセプトを、「どんな統計データを見ればそれを見つけれらるか?」に翻訳することです。

店舗コンセプトとデータへの翻訳の例
コンセプト 見るべき統計データ
高齢者向け健康増進ピザ 高齢者人口
オフィス向け小腹満たしピザ 第3次産業従業者/事業所
映えるデザートピザ 若年女性人口
高所得者向け高級ピザ 持ち家世帯数/大学・大学院卒業者数

jSTAT MAPで利用可能なデータの一覧は、e-statのヘルプページに掲載されています。

また、jSTAT MAPで利用可能なデータを検索できるサイトを用意しましたので、併せて活用してください。

出店候補物件リストの作成

店舗のコンセプトが決まったら、いよいよ店舗の物件を探しましょう。

まずは、宅配ピザ店に適した物件の条件について調べてみます。 下の表は、宅配ピザチェーンの店舗物件募集条件を整理したものです。

宅配ピザチェーンの店舗物件募集条件
面積 駐車場 その他
ドミノピザ 路面店/ビル1階 35~50坪程度 5台以上 間口10m以上
ナポリの窯 1階を優先 15〜25坪程度 バイクを停めるスペース5台分程度~(駐車場2~3台分) 電気・ガス・水道の引き込みが可能なこと、排気ダクト設置が可能なこと、軽飲食での営業が可能
ピザハット 1階 18~40坪
ピザーラ (20坪) 半径2kmに2万世帯以上

これをみると、「1階、50〜150 m2、駐車場あり、飲食店可」が、宅配ピザ店舗物件に求められる条件となりそうです。

出店候補物件の検索

あ・きてん福岡は、福岡市内の空き店舗物件を検索できるサイトです。 この演習では、このサイトを利用して出店候補物件をさがします。

まず「≡エリアから探す」をクリックします。そして、

  • エリア:「福岡市エリア全域」
  • 絞り込み条件:「1階の物件」「駐車場あり(近隣含む)」「飲食店可」
  • 建物面積:下限「50 m2」上限「150 m2

「🔎検索」をクリックします。

表示された物件のデータを使って、あなたの店の「候補物件リスト」を作りましょう。 下の図のように、物件の緯度と経度のデータ列を追加してください。

あ・きてん福岡に掲載される物件は日々変動しています。 「いいな」と思う物件が見つかったら、スクリーンショットを撮影するなどして、情報を保存しておくことをお勧めします。

緯度・経度の取得方法

あ・きてんの検索結果から、物件の緯度・経度を取得する方法の一例を示しておきます。

  • mapを見る」をクリックします
  • Googleマップが開きますので、表示されたアイコンを右クリックします。
  • メニュ=が開きますので、一番上の緯度経度をクリックします(緯度経度がクリップボードにコピーされます)。
  • 緯度経度の数値をExcelに貼り付けます

出店候補物件リストをjSTAT MAPに取り込む

作成した「出店候補物件リスト」をjSTAT MAPにインポートしましょう。

「ファイル」メニューから「インポート」を選びます。

「インポート」ウィンドウが開くので、「緯度経度リスト」をクリックします。

「緯度経度リストインポート」ウィンドウが開くので、必要な情報を入力します。

  1. [参照]ボタンをクリックして、作成した物件リストのExcelファイルを選択します。
  2. 「緯度列」「経度列」「アイコン」を設定します。
  3. [インポート]ボタンをクリックします。

商圏分析(到達圏解析)

出店候補物件を登録できたら、商圏分析を行いましょう。 ここでは、到達圏解析を利用して、物件の商圏を設定しましょう。

宅配ピザ店の商圏として、どのくらいの範囲を設定すればよいでしょうか?

自動車で片道5分の範囲を、商圏に設定するというのが、1つの目安になりそうです。 この条件で、商圏分析を行ってみましょう。

  • [✏統計地図作成]から[⬜エリア作成]を選択してください。
  • 「エリア作成」ウィンドウが開きますので、「新規グループ」をチェックし、「グループ名」を入力してください。

  • [🚘到達圏]をクリックするとプルダウンメニューが開きますので、「到達圏(プロットグループ指定)」を選択してください。

  • 「到達圏(プロットグループ指定)」というウィンドウが開きます。
    1. 「既存プロットグループー覧」において、先程作成したプロットグループを選択してください。
    2. 「到達圏設定」において、「種類」「時速」を設定します(例:車、時速40km)。
    3. 第1到達圏にチェックを入れ有効化し、「時間」を入力します(例:5分)。
    4. 「作成種類」は[累積型]、「エリア作成範囲」は[すべて]を選択します。
    5. [到達圏一括作成開始]ボタンをクリックします。

  • 登録した候補店舗物件からの到達圏(エリア)が表示されたでしょうか?

出店物件の選定

候補物件の商圏(集客圏)が設定されましたのでjSTAT MAPのレポート作成機能を使って、それぞれの物件を評価、比較検討しましょう。

  • あなたが選んだ統計データを使ってシンプルレポートを作成、複数店舗を比較してみましょう。
  • 候補物件が2〜3に絞れたら、それぞれの物件のリッチレポートを作成、商圏の特性を比較してみましょう。

商圏分析の結果に加えて、周辺環境(接道状況や店舗視認性、交通量など)を総合的に勘案し、出店物件を決定しましょう。

店舗周辺の交通条件として、例えば、幹線道路沿いの立地にはメリットとデメリットがあります。 目立つ立地なので広告効果がある、道が分かりやすく案内しやすいといったメリットがある一方で、 中央分離帯が反対側車線への出入りを妨げるといったデメリットもあり、また交通量が多い道路には交通事故のリスクもあります。 このような観点から、交差点角地がベストだと言われることもあります。

jSTAT MAPでは、画面右下の[(ペグマン)]を地図上にドロップすることで、その地点のストリートビューを見ることができます。

既存宅配ピザ店舗の商圏

ライバル店舗の存在も考慮する必要があります。 既存の宅配ピザ店舗のデータをjSTAM MAPに取り込んで、その商圏を表示してみましょう。

ロケスマiタウンページなどのウェブサービスを使うと、既存の宅配ピザ店の情報を得ることができます。 ただし、これらのサービスにおいては、緯度経度の情報は公開されていません。 そこでここでは、jSTAT MAPの「住所マッチング1」機能を使って、既存店舗の商圏を表示してみましょう。

既存宅配ピザ店舗の商圏

「既存店舗リスト」をExcelで作成しましょう。 その際、既存店舗の住所を入力した「住所」列を作ってください。

このファイルを、jSTAT MAPにインポートします。

  • 「ファイル」メニューから「インポート」を選択してください。

  • 「インポート」ウィンドウが開きますので、[住所マッチング]をクリックしてください。

  • 「住所マッチングインポート」というウィンドウが開きますので、以下の操作を行ってください。
    1. [参照]ボタンをクリックして、作成した既存店舗リストのを選択します。
    2. 住所データが格納されている列を「住所列」に設定します。
    3. グループ名(自動的に1で選択したファイル名が設定されていますが、変えることもできます)を入力し、アイコンを選択します。
    4. [インポート]ボタンをクリックします。

  • [✏統計地図作成]から[⬜エリア作成]を選択してください。

  • 「エリア作成」ウィンドウが開きますので、「新規グループ」をチェックし、「グループ名」を入力してください。また、色の指定パネルを開き、「ハッチ色」を候補物件と異なる色に指定することをお勧めします。

  • [🚘到達圏]をクリックするとプルダウンメニューが開きますので、「到達圏(プロットグループ指定)」を選択してください。

  • 「到達圏(プロットグループ指定)」というウィンドウが開きます。
    1. 「既存プロットグループー覧」において、先程作成したプロットグループを選択してください。
    2. 「到達圏設定」において、「種類」「時速」を設定します(例:車、時速40km)。
    3. 第1到達圏にチェックを入れ有効化し、「時間」を入力します(例:5分)。
    4. 「作成種類」は[累積型]、「エリア作成範囲」は[すべて]を選択します。
    5. [到達圏一括作成開始]ボタンをクリックします。

  • 既存店舗の商圏を確認しながら、候補物件を評価してください。

脚注

  1. このように住所を緯度経度に変換することを、ジオコードあるいはジオコーディングと呼びます。↩︎