自転車観光コースの開発
佐賀市内の観光地を巡る自転車観光コースを開発してみましょう。
背景と目的
佐賀と自転車
佐賀市中心部は、自転車利用にきわめて適した地理的特性を持っています。 特に、佐賀市中心部は海抜4m程度の佐賀平野の中心に位置し、高台や坂道もほとんどない平坦な地形になっています。

また直近では、マイナビ・ツール・ド・九州2026佐賀・福岡ステージが開催されるなど、県を挙げて自転車活用の推進が行われています。 環境にやさしい自転車は、健康意識の高まりも相まって、日常生活はもとより、観光地での移動手段としても注目されています。
観光地での移動手段
観光地での主な移動手段として、🚌公共交通、🚗自動車、🚲自転車を挙げることができます。 以下の表に、それぞれの移動手段のメリットとデメリットをまとめました。
| 移動手段 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 公共交通 |
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| 自動車 |
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| 自転車 |
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このように、自転車は観光地での移動手段として多くのメリットを持っています。 しかし、佐賀県の交通機関別観光客の割合(令和元年)を見ると、7割以上が自家用車利用であり、公共交通の利用は少ないことがわかります。

佐賀市において、自転車を活用した観光に力を入れることには一定の意義がありそうです。
佐賀市の取り組み
佐賀市では、観光地での自転車活用を推進するために、サイクリングコースを設定してその情報を提供する取り組みを行っています。
- 水辺と歴史のサイクリングコース
- 徐福と花のサイクリングコース
- ひがしよかとこめぐりサイクリングコース
など、市の郊外部の自然が豊かな地域を巡るコースが設定されているほか、佐賀市中心市街地を巡る「まちなかポタリングコース」も設定されています。


みなさんも、佐賀市中心部の観光地を巡る自転車観光コースを開発してみましょう。
佐賀市まちなか新コースの設計
みなさんも、新しいまちなか自転車観光コースを設計してください。 どのようなコースを提案すればよいでしょうか? まずは、チームで話し合って、アイデアを整理してみましょう。
訪問地のリストアップ
観光施設・寄り道スポット、休憩場所・飲食店、絶景ポイントなど、どのような地点を組み合わせるかが腕の見せ所です。 自転車ならではの観光コースを設計してください。
何も手がかりがなければ、まずはRESASの観光分析や、サガバイドットコム(佐賀市観光協会)などのウェブサイトを参考に、観光スポットや寄り道スポットを探してみましょう。
また、あなただけが知る、知る人ぞ知るスポットを組み込むのも面白いかもしれません。 SNSやブログなどで情報を集めるのもよいでしょう。
コンセプトとターゲットを決めて、コースのテーマを明確にすることも重要です(例:歴史・文化、グルメ・スイーツ、アート、風景・写真、など)。
地理的範囲は自由です。ただし出発地と帰着地が一致する(同じ場所に戻ってくる)コース設定にしてください。 半日〜1日程度の(宿泊を含まない)観光プランを設計しましょう。
訪問地リストの作成
訪問する地点のリスト(Excelファイル)を作成してください。 下図を参考に、地点名、緯度、経度を、訪問順に並べてください。 これが観光コースの設計図です。
観光コースの確認
観光コースを地図にして確認してみましょう。 「最適化ツール」を利用すれば、訪問地リストを観光コースとして地図に表示することができます。

- 講義時だけ使用可能なアドレスは、都度お知らせします。
- ローカルPCをサーバとして作動するため、快適に利用できます。佐賀市の自転車移動に特化したチューニングをしています。
- https://tmrkzk.shinyapps.io/opt-map/はいつでも使えます。
- 外部のウェブサイトにアクセスします。大勢が同時にアクセスすると、サーバーが混雑して使えない場合があります。
観光コースの評価
観光コースには、訪れる観光スポットの魅力や物語性だけでなく、移動のしやすさや効率性、安心感など、さまざまな評価軸があります。 もちろん、観光コースの中心的評価軸は、訪れる観光スポットの魅力や物語性です。 しかし、観光コースの移動のしやすさや効率性、安心感なども、観光コースの魅力を左右します。 そして、観光コースの移動のしやすさや効率性、安心感などは、定量的に評価することが可能です。
- 移動の効率性
- TSP(巡回セールスマン問題)の最適解1と比較して、どの程度効率的なコースになっているかを評価する。
- 移動の負荷
- 移動経路の高低差を計算し、体力的な負担が大きいコースになっていないかを評価する。
- コースの安心感
- 移動中に自転車が故障した場合を想定し、最寄りの自転車修理店までの距離の最大値を計算する。
- コースの利便性
- 移動ルートから一定距離圏内にあるコンビニエンスストアの数をカウントする。
①移動の効率性
- 「最適化ツール」を利用して、訪問地点のリストのExcelファイルを読み込み、TSPの最適解を計算します。
- 計算された最適解の移動距離と、設計したコースの移動距離を比較することで、コースの効率性を評価します。

つまり、提案するコースの移動距離が、最短で移動した場合の何倍の距離になっているか、が指標になります。
②移動の負荷
- 「最適化ツール」を利用して、経路のGeoJSONファイルを出力します。
- 出力したGeoJSONファイルを、地理院地図の「断面図」ツールに読み込ませることで、経路の高低差を可視化することができます。

できるだけ高低差が少ないコースが望ましいので、最低標高と最高標高の差を計算し、コースの体力的な負担が大きいかどうかを評価します。
③コースの安心感
これは、コース上のどこにいても「最悪このくらい歩けば修理店に着ける」距離で評価しようというものです。 いわば、安心感を数値に置き換えた指標だといえます。
- 「最適化ツール」を利用して、訪問地点リストと自転車修理店のリストを読み込み、コース上の地点から最寄りの自転車修理店までの距離の最大値を計算してください。

佐賀市内の自転車修理店のデータはこちらからダウンロードできます。 リスト以外の自転車修理店があるかもしれませんので、必要に応じて追加してください。
地図がカラフルな幾何学模様に塗り分けされたと思います。 これはボロノイ分割と呼ばれるもので、どの自転車修理店が(直線距離で)最も近いかという基準で地域を分割した図形です。 1つの色で塗られたある領域は、ある特定の自転車修理店が最も近くなる地理的範囲を表しています。 つまりそれぞれの自転車修理店が持つ勢力圏を地図に表したものといえます。
「最も近い自転車修理店」までの距離が最大になる地点を求めているので、参考としてボロノイ分割をオーバーレイ表示しています。 直線距離を使って書いた図形なので、道路距離での評価結果とは必ずしも整合しません2が、施設配置問題でよく用いられる概念ですので、覚えておいて損はないと思います。
④コースの利便性
移動中に、トイレ休憩や飲み物の購入などでコンビニエンスストアに立ち寄ることができると便利です。
- 「最適化ツール」を利用して、訪問地点リストとコンビニエンスストアのリストを読み込み、コース上の一定距離圏内にあるコンビニエンスストアの数をカウントしてください。

佐賀市内のコンビニエンスストアのデータはこちらからダウンロードできます。 リスト以外のコンビニエンスストアがあるかもしれませんので、必要に応じて追加してください。
得点換算
4つの定量的評価項目については、以下の表に示すルールに従って得点に換算します。
| 項目 | 0点 | 満点 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 移動の効率性 | 1.5 | 1.0 | 同じ観光地を回る最短経路との移動距離の比率 |
| 移動の負荷 | 10 m | 0 m | 移動経路における標高の上昇(累積) |
| コースの安心感 | 1,000 m | 0 m | 最寄りの自転車修理店までの最大距離 |
| コースの利便性 | 0店 | 15店 | コースから300 mのバッファに含まれるコンビニ店数 |
